美意識 その5

ピンポイントの美意識と言うか、なんと言うか。


「徹底しての矯正」といいましたが、彼女の歯並びは、それほどテリブルなものとは感じていませんでした。


日本でなら、ザラに見かけるような程度だったと記憶しています。


けれども、国民の平均年収額に等しいほどの大金をかけてパーフェクトな矯正に徹するとは、私からすると驚異です。


彼女の家庭は決して裕福なわけではありません。


彼女の父親は工員。


ごくポピュラーな経済レベルといっていい。


まさか、「よくそんな大金出せるわね」などとは言えず、こう告げました。


「歯の矯正費用ってそんなに高いものなの?うちなんかだったら、とても払えないわ」すると、彼女の母親は即座に言いました。


「うちだってそうよ。1600万リラなんて大金、一度に払えるわけないじゃないの。でも、そこはよくしたもので、分割が効くのよ。
何回にも分けて支払うわ」矯正費用ローンか。


なるほどね。

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